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『ITアーキテクト Vol.23』を刊行

特集/特別企画は『マルチコア時代のアプリケーション開発』、『アーキテクトは“ビジネス視点”で考えよ』、『“伝わるドキュメント”を書く!』、『クラウド時代の企業システム管理』、『TOGAF9の進化度』、『ビジネス・アナリシスの知識体系「BABOK」』、『複合イベント処理「CEP」』の7本

2009年5月25日更新

ITアーキテクト Vol.23

 5月25日、『ITアーキテクト Vol.23』を刊行した。今号は単発企画が盛りだくさんだ。計7本の特集/特別企画を掲載している。

 まず特集1で取り上げたのは、『マルチコア時代のアプリケーション開発』である。

 ご存じのとおり、今日、コンピュータの心臓部となるCPUは、中核部分のコアを複数搭載することで性能向上を図るというアプローチが主流となっている。複数のコア(マルチコア)による並列処理により、スピードアップを果たそうというわけだ。マルチコアCPUは、2005年ごろからデスクトップPC向けのCPUを中心に市場に出回り始め、現在ではサーバPCやモバイルPCなどにも搭載されるようになっている。コアの数も、当初の2つ(デュアルコア)から4つ(クアッドコア)、6つ(ヘキサコア)、8つ(オクタコア)と増えている。

 それでは、なぜCPUの性能向上アプローチは、従来の「動作クロック数を高める」というアプローチから「コアの数を増やす」というアプローチへと変化したのか。本特集のPart 1では、まずそれについて説明したうえで、インテルのCPUを例にとり、マルチコアCPUの特性を解説している。

 またPart 2では、アプリケーションをマルチコアCPUに最適化させるための開発技術をいくつか紹介している。マルチコアによる性能向上の恩恵は、シングル・コアに最適化されたアプリケーションでは十分に享受できない。マルチコアのメリットをフルに引き出すには、アプリケーションを並列処理に適した形態に変える、つまり並列化する必要があるのだ。並列化の手立てには、マルチスレッド・プログラミングのほかに、OpenMP/OpenMPIといったAPIや、マルチコア対応のデバッガ/コンパイラといった開発支援ツールなどがある。Part 2では、そうした手法やツールのほか、今後要注目の技術を取り上げて紹介している。ちなみに、今号では表紙でも基板上のCPUをモチーフに選んだ。というのは嘘で、これはエッフェル塔を真下から見上げた写真だ。

 次の特集2『アーキテクトは“ビジネス視点”で考えよ』で取り上げている“ビジネス視点”とは、ビジネスとITの間に横たわる“溝”を埋め、ITを戦略的に活用するために、アーキテクトが備えるべき視点/考え方のことを指している。

 ビジネス環境の変化が激しさを増している今日、企業が競合他社との差別化を図っていくうえで、ITの活用は不可欠である。しかし、経営者の理解不足やユーザー部門のリテラシー不足、あるいはIT部門の努力不足などにより、持てる能力をフルに発揮できていないITシステムが少なくない。この状況を改善し、ビジネスへのITの貢献度を高めて投資対効果を最大化するには、ビジネスの視点でITシステムのあり方/使い方を考えなければならない。現在のアーキテクトやIT部門に求められているのは、この視点なのだ。

 本特集では、チャートを活用してビジネス課題の観点からIT施策を整理/優先順位付けする方法や、BI(Business Intelligence)に取り組むうえでのポイントなど、アーキテクトがビジネス視点で考え、行動するうえでの指針やヒントを提示している。特に特集内で紹介している「N対Nの突合チャート」は、ビジネス上の課題とIT施策を照合し、投資対効果も確認しながらIT投資の優先順位付けを行うのに非常に便利なツールだ。ぜひ多くの方に活用していただきたい。

 続く特集3『“伝わるドキュメント”を書く!』では、タイトルのとおり、相手に意図が的確に伝わるドキュメントを書くための心構え/テクニックを紹介している。

 「自分の意図を相手に正しく伝える」というのは、業務上のスキルとしては基本的なものの1つだろう。特にITエンジニアの場合、これから作るシステムに関してプロジェクト・メンバーと意識合わせをしたり、問題の原因/解決策を顧客に提示したりといった具合に、さまざまな相手とのコミュニケーションが発生する。大抵、それらのコミュニケーションでは提案書や報告書といったドキュメントが必要になるが、少なからぬエンジニアが、このドキュメントの作成を苦手としているようだ。実際、自分はわかりやすく書いたつもりなのに、思ったように意図が伝わらず、苦労したという経験をお持ちの方は多いだろう。本特集では、エンジニアがうまくドキュメントを書けない理由を、「知識」、「目的」、「手法」、「熟練」に関する“ギャップ”が存在するためだと考え、それらのギャップを解消し、“伝わるドキュメント”を書くためのテクニックを紹介している。

 以上3本の特集に続くのが、4本の特別企画だ。以下にダイジェストで紹介しよう。

●特別企画1『クラウド時代の企業システム管理』
 本誌では、ここ数号にわたってクラウド・コンピューティング関連の話題を取り上げてきたが、今号では、「企業システム管理」の観点から、現状のクラウド・サービスを眺めてみた。具体的には、アマゾンとグーグルのクラウド・サービスに対応した管理ツール(アマゾン、グーグルの純正ツールと、アマゾンのサービスに対応したサードパーティ製のクラウド管理サービス)を取り上げ、それらを使うことでどのような管理が行えるのかを紹介。そのうえで、クラウド時代の企業システム管理が、オンプレミス時代の企業システム管理とどう変わる可能性があるのかを考察している。ちなみに、アマゾン対応として取り上げたサードパーティ製ツールは、「RightScale」、「Cloudkick」、「Heroku」の3つだ。

●特別企画2『TOGAF9の進化度』
 「TOGAF(The Open Group Architecture Framework)」とは、オープングループが策定したEA(Enterprise Architecture)フレームワークで、民間組織で活用可能なEAフレームワークとして国際的に広く利用されている。2002年にバージョン8(TOGAF8)が公開されてから約7年ぶりのメジャー・バージョンアップとして、今年2月に「TOGAF9」が公開された。TOGAF9では、全体の構成が大きく変更され、重複した内容が整理されたうえで、実用性を高めるためのコンテンツの追加が行われている。本企画では、TOGAFの概要や狙いを改めて説明したうえで、TOGAF9の特徴、旧バージョンからの変更点などを解説している。

●特別企画3『ビジネス・アナリシスの知識体系「BABOK」』
 「ビジネス・アナリシス」とは、ビジネス要求を分析し、適切なITソリューションを導くための活動の総称だ。このビジネス・アナリシスに関するノウハウやスキルを整理した体系として、カナダを拠点とする非営利団体のIIBA(International Institute of Business Analysis)がまとめたのが、「BABOK(Business Analysis Body of Knowledge)」である。先ごろバージョン2が発行され、その日本語訳の作業もIIBA日本支部によって進められている。本企画では、ビジネス・アナリシスの活動の概要と、BABOKの特徴、体系について解説している。

●特別企画4『複合イベント処理「CEP」』
 昨今、ITシステム上で発生した大量のデータ/トランザクションをリアルタイムでモニタリング/処理するタイプのアプリケーションが増えてきている。例えば、株価/為替の価格変動をリアルタイムにチェックして、その変化に応じた売買を自動的に行うアプリケ-ションや、Webサイト上でのユーザーのページ遷移に応じて情報を提供するアプリケーションなどだ。これらのアプリケーションに共通しているのは、データが継続的に(流れるように)システムへと到着し、その到着頻度を予測するのが難しいという点である。
 こうした“流れるデータ(データ・ストリーム)”の発生パターンに応じて特定の処理を起動するための基盤技術は「CEP(Complex Event Processing:複合イベント処理)」と呼ばれる。今後RFIDタグなどの普及が進めば、CEPを用いたアプリケーションはさらに増加すると目されている。皆さんが所属する組織でも、この技術を活用したシステムを作るときがいずれ来るだろう。そのときへの備えとして、本企画では、CEPのアーキテクチャや技術的な特徴、代表的な用途、関連技術/製品の動向、導入時の留意点などを解説している。

 以上の単発企画のほか、今号では、新連載『サービス指向で挑むシステム統合』がスタートした。今日のシステム開発では、多くの場合システム間の連携、つまりシステム統合が必要になる。システム統合については、複数のシステムを単純に1つにまとめたり、相互につなぎ合わせたりといったいくつかのパターンがあるが、コストや期間などを考えると、今日なら既存システムをそのまま生かして統合するのが現実的だろう。既存システムの機能を業務の粒度でサービスとしてとらえ、それらを連携させて新たなシステムを構築するのだ。本企画では、この考え方に基づくシステム統合の具体的な進め方を、仮想プロジェクトを例にとって解説していく。

 なお、以前に5月に発行予定だと書いた書籍『ITエンジニアのロジカル・シンキング・テクニック』だが、内容の手直しがまだ続いており、1カ月ほど発行が延びそうだ。今しばらくお待ちいただきたい。

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