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書籍『ITエンジニアのロジカル・シンキング・テクニック』を刊行

本誌人気連載『マジカル・ロジカル・シンキング』を大幅加筆/修正し、ロジカル・シンキングを7つのテクニック群に体系化。システム開発の上流工程を担うすべてのITエンジニアに贈る

2009年7月2日更新

『ITエンジニアのロジカル・シンキング・テクニック』(著者:林 浩一/税込み価格:2,300円)
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 7月2日、書籍『ITエンジニアのロジカル・シンキング・テクニック』を刊行した。本書は、ITアーキテクト Vol.2〜Vol.11に掲載した連載『マジカル・ロジカル・シンキング』に大幅な加筆/修正を加え、ロジカル・シンキングのテクニックとして体系化したものだ。その体系を、著者の林 浩一氏は「MALT(Modeling As Logical Thinking)」と名付けた(これは「モルト」と読む)。

 MALTは、ビジネス戦略/企画の領域で活動するコンサルタントらが使っているロジカル・シンキングのテクニックを、システム開発の上流工程で使えるよう体系化したものだ。上流工程では、企業の経営者や業務担当者などのITに詳しくない人たちに対して、これから作るシステムがどのようにして彼らの課題を解決するのかを説明し、納得してもらわなければならない。これは、日ごろ技術を中心に扱っているITエンジニアにとって、非常に難しいことだろう。だが、これからの時代は、ITエンジニアが上流工程に積極的に参画し、システム企画/開発の“起点”からかかわらなければ、「約3割」とも言われるITプロジェクトの成功率を上げることはできない※1。プロジェクトの成功率を高め、企業におけるIT活用をさらに促進していくためには、ITエンジニアがIT以外の技術も習得し、上流工程をコントロールしていかなければならないのだ。その技術の1つがロジカル・シンキングである。

※1 これについては、例えば日経BP社『日経コンピュータ』の2008年12月1日号特集記事『成功率は31.1%』などを参照されたい。

 MALTでは、システム開発の上流工程において、顧客の課題を整理して改善案をまとめ、それを見える化して提案し、合意を得るまでの活動でITエンジニアに必要になるロジカル・シンキングのテクニックを、次の7つにまとめている。

●ロジカル・モデリング
●ロジカル・ドローイング
●ロジカル・ライティング
●ロジカル・リーディング
●ロジカル・アグリーメント
●ロジカル・レビュー
●ロジカル・ドキュメンテーション

 以下、本書の内容に即して、各テクニックの概要を簡単に紹介しよう。

 まず「ロジカル・モデリング」とは、ITの理論を使ってロジカル・シンキングを見直し、実際の課題解決で必要になる具体的なノウハウを追加したものだ。従来のロジカル・シンキングをITの知識を使って整理し直し、「So What?/Why So?」、「MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)」、「ロジック・ツリー」という3つの基本テクニックを正しく理解することを目指す。これが、以降に続くテクニック群を理解するうえでの基礎となる。

 次の「ロジカル・ドローイング」は、主張や提言を効果的に伝える図表を作成するためのテクニックである。ここでは、ITの世界のMVC(Model-View-Controller)モデルの「モデル(Model)とビュー(View)の分離」というコンセプトを援用し、「絵心なしでも、わかりやすい図を描く方法」を紹介する。わかりやすく、説得力のあるドキュメントを作るうえで、図の使用は非常に効果的だが、自分に絵心がないために、ドキュメント作成を苦手だと思い込んでいるエンジニアは多いだろう。しかし、論理構造さえしっかりと作れば、絵心などなくても納得感のある図を作成できる。そのテクニックをまとめたのがロジカル・ドローイングである。

 続く「ロジカル・ライティング」は、主張や提言をわかりやすいテキストで書くための考え方だ。資料や報告書を作成するときには、わかりやすい図を作ること以上に、わかりやすい文章を書くことが重要になる。わかりやすい文章の書き方は、参考書を読めば身に付くようなものではなく、何度も何度も文章を書き、指導を受けながら少しずつコツをつかんでいくしかない。だが、ここでもITの知恵を使い、わかりやすいテキストを書く指針を得ることができる。ロジカル・ライティングでは、コンピュータがテキストを処理する際の手法を援用した「一度読むだけで理解できるテキスト(文章)を書く方法」、すなわち「ワンパス・テキスト・ライティング」のテクニックを詳しく紹介している。

 「ロジカル・リーディング」は、ステークホルダー(利害関係者)へのインタビューなどの調査結果から、事実、解釈、意見を的確に切り分けるための手法だ。MALTでは、「相手の合意を得られる論理展開の方法」として、「相手の解釈の仕方」を重視した「解釈ドリブン」を提唱している。ロジカル・リーディングでは、そのアプローチの基礎として、収集した情報を分析し、「事実」と「意見」、そしてその中間に位置する「解釈」に分けて考える方法を解説している。

 「ロジカル・アグリーメント」は、自身の主張や提言を相手に納得してもらうための合意形成の進め方をまとめたものである。納得/合意を得るための具体的な論理展開手法として「AIM & FIRE」という考え方を紹介する。これは、解釈ドリブンの中核となるアイデアであり、提言を受けた相手がそれを解釈し、何らかの反応を返すまでのプロセスをモデル化した「FIREモデル」と、このモデルに基づいて合意を得るための手順をまとめた「AIM」から成る。ロジカル・アグリーメントは、「解釈ドリブン」を指向するMALTのハイライトともなるテクニックだ。そのエッセンスを、7月6日に公開予定の本サイト特別企画『ロジカル・シンキングのツボ』の第2回で紹介する予定にしているので、ぜひお読みいただきたい。

 「ロジカル・レビュー」とは、ドキュメントの品質を評価/改善するためのポイントをまとめたものだ。ここまでに説明したテクニックも駆使して作成したドキュメントは、必ずだれかのレビューを受ける。そのとき、レビューする側とされる側の評価基準がずれていると、いつまでたってもレビュアーが満足する出来にはならず、延々とレビューが繰り返されることになる。それを回避するための考え方として、「コンテンツとストラクチャ」、「シンタクスとセマンティクス」という2軸で規定される「ドキュメント品質評価の4象限モデル」を提示し、これを使ってドキュメントの品質を効果的に高めていく方法を説明している。

 最後の「ロジカル・ドキュメンテーション」では、高品質なドキュメントを効率的に作るプロセスをまとめている。ドキュメントは、調査/検討の結果をまとめて報告するためのものであり、それを作ること自体が目的ではない。ドキュメントの質を高めることにいくら時間をかけても、そもそもの調査/検討が不十分だったら、説得力のある内容にはならないのだ。ただし、調査/検討にかけられる時間も無尽蔵ではなく、調査/検討作業とドキュメント作成作業の時間配分を間違えてしまうと、それぞれの作業に手戻りが発生し、非常に効率が悪くなってしまう。そこで、ロジカル・ドキュメンテーションでは、調査/検討の作業とドキュメント作成の作業を並行してバランス良く進めるための方法を紹介している。

 本書の中核となる7つのテクニックの概要は以上のとおりだ。前述したように、現在本サイトに掲載中の特別企画『ロジカル・シンキングのツボ』では、このMALTのエッセンスを紹介している。ぜひそちらをご覧になり、MALTのテクニックに興味を持たれた方は、弊社サイトや書店などで本書をお買い求めいただきたい。

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